2011年12月26日月曜日

クリニックのカラースキーム

先日ご紹介した、広井内科医院のカラースキームのご紹介を致します。

クリニックという用途柄、衛生や設備の機能性という点に重点が置かれるのはもちろんですが、見た目の第一印象が人の心に与える影響は大きい為、空間を構成する色や形も重要な機能の一つとして捉え、これからの地域を支える新しいクリニックにふさわしい計画を致しました。

・身体に不安があっていらっしゃる患者さんの気持ちから、少しでも緊張を取り除きたい
・先端医療を地域に提供する新生広井内科医院の役割を空間にも表現したい
そんな思いで内装設計の提案を始めました。

医療空間のカラースキームといえば、温かみがあり気分を明るくしてくれる明るい木の色、清潔感のある白、柔らかな印象を与えるパステルカラー。元気になる、という意味でビビットカラーをアクセントにする医療空間もあります。
今回はこのような基本的な概念に、施主の好みや建築コンセプトの味付けをして新しいコーディネートをすることを色彩設計の意図としました。
カラースキームのキーワードは以下の通りです。
1.清潔感
2.ほっと和らぐようなおちつき
3. 洗練

【受付、待合室について】

全体的に白い左官材を基調とした仕上げの壁。真っ白は清潔感ある一方で、緊張感を与えることから、赤みと深みを帯びたチェリー材で落ち着きと温かみを加えてバランスをとっています。

椅子などの置き家具の色を3色組み合わせました。ご高齢の方、お子様や若い男性の方など、どの年代の患者さんも自然と自分の好みの席に招かれるように座ってもらうこと、そして空間にアクセントと動きを与えることをイメージして色を選定し、洗練された印象の赤いグレーをメインに、元気の出るようなオレンジ、さわやかなイエローの組み合わせとしました。
椅子張地の素材感や白い左官壁の微妙な陰影などのテクスチャも、色彩設計の際にはニュアンスを出す要素として考慮に入れています。

【診察室について】


白とチェリーの基本色に、ここではミントグリーンの床材で清清しいイメージを加えました。機能性が最も重要なこの空間においては、色による温度感を与えない中間色だけで構成して、正確な診断の邪魔をしないことも考慮しています。一般に薄いベージュやグレーになることが多い床色ですが、機能性と受診時の緊張感を解く柔らかいテイストを与える意外な色合わせにご好評を戴きました。
診察時に顔色や肌の状態を的確に把握するため、光の反射による色の見え方も含めて検討しています。青白くなく、黄色すぎない白の色味も光源と併せて検討を重ねて決定しています。



このように、様々なエレメントを組み合わせて、空間全体のコーディネーションを検討しました。